| 2007.9月 「Point of No return」 今日から9月。先月の記録的猛暑が嘘のように過ごし易い 気候となりました。日中の蝉たちも、夜のコオロギたちに主 役の座を明け渡したようです。とは言え、まだまだ残暑も厳 しいので、季節の変わり目に際しての体調管理には、十分気 を配る必要がありそうです。 今年の夏は、最高気温の記録が日本各地で塗り替えられ、 関東では40℃を超える気温も観測されました。これは何と74 年振りの記録更新だそうです。都内でも、連日35℃を超える 日が続きましたが、つい10年程前までは、夏でも30℃を超え る事は珍しく、35℃を超える日など、一夏に一度有るか無い かではなかったでしょうか。 先月の最も暑かった日には、流石にこのスタジオでも、一 部エアコンに不調を来たしたくらいです。専門の業者さんに お願いして室内機を分解・洗浄してもらった時に聞いた話で すが、たとえ空調設備が万全の状態であったとしても、あそ こまで暑くては、十分に機能を発揮出来ず、冷やし切る事が 出来なくなる場合もあるそうです。 エアコンの基本原理は、室内の暑い空気を室外放出して、 室外の新鮮で涼しい空気を更に冷やして室内に送り込む、循 環式の熱交換です。機器の運転を少しでも助けるために、エ アコンの室外機を冷やそうと、室外機に水をかけに行った私 は愕然としました。 数台ある室外機から、運転中、絶えず勢いよく熱風が吹き 出していたのです。自然が生み出す優しい温風などとは程遠 い、湿気を帯びた、人工的な嫌な熱風で、数分とその近くに は居られませんでした。室外が暑いから室内の設定温度を下 げる、更に室外が暑くなる、その熱い空気を取り込む…。 文字通り悪循環です。もし、各家庭、各企業の空調設備数千 万台に同じ事が起きているとしたら、地球温暖化など造作も 無い事は、普段エコロジストを気取る事のない私にも、容易 に理解できました。 先月読んだ記事によれば、地球温暖化が進むスピードは、 数年前に弾き出された予測より、現段階で既に約30年早まっ ているそうです。これは、比例的にではなく、加速度的に温 暖化が進み始めた事を意味します。 皆さんもご存知かもしれませんが、「ポイント・オブ・ノ ーリターン」という言葉があります。アーティストの名前で もアルバムのタイトルでもありません。 これは、物理的に、或る時点や状態を超えると、最早や元の 状態に戻す事は不可能である、という意味です。国家財政等 が破綻するクリティカル・ポイントとしても用いられますが 同じ事が地球環境にも当てはまり、私達人類が現在と同じ生 活を続ける限り、あと10年でこのポイントが訪れると言われ ています。それが単なる脅しではないという事を室外機から 吹き出す熱風を体感してみて、改めて思い知らされました。 100年、1000年先の話ならば危機感も薄れようものですが、 10年先だとすれば、十分現実味があるどころか、極めて逼迫 した状況です。 地球温暖化に対して全人類が危機感を抱き、たった今から 改善を始めたとして、果たしてこのポイントを回避できるの かどうかは疑問ですし、それ以前に、現在の過度に快適な生 活や利便性に浸り切った私達が、それを投げ出す事ができる かどうかを考えると、非常に困難な問題です。 地球という星が誕生して約40億年。現在までを24時間とす ると、私達人類の歴史は、たった数分だそうです。その数分 の間に、人類は地球の平均気温を一気に引き上げてしまいま した。生態系にも影響を及ぼす事は、ほぼ確実です。 なぜ人間という生き物は、いつも自分達の作った物の始末に 困るのでしょうか。 もちろん、明日から無人島生活並の生活をせよ、と言われ ても無茶な話です。しかし、「ポイント・オブ・ノーリター ン」の回避自体が無理ならば、1分でも1秒でも、何とかし てそこへの到達を遅らせるしかありません。 緊急時を除く事は言うまでもありませんが、自然風や扇風 機を利用する、使用していない電気機器の電源は小まめに切 る、自動車やバイクのアイドリングは極力避ける等、「小手 先じゃないか」と軽視したり、「自分一人くらい」と抜け駆 けしたりせずに、手近かな所から地道に温暖化対策をして行 く以外ないのです。 今から20年前、30年前を思い出して下さい。 現在より快適で便利ではなかったかもしれませんが、決して 不快で不便な世の中ではなかったはずです。 |
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